介護事業開業前の準備を怠るな
一口に介護事業を始めるといっても、それは法人として商売をするということですから、法的な手続きも必要となります。施設を開業すれば保険にも加入して利用者の安全を保障したり、場所の賃貸契約をしたりと、事務的な面倒がたくさんあります。そういった細々とした事前の準備についても、きちんと把握して漏れのないようにしましょう。
介護事業は行政が指定する法人です
施設を開業し、従業員を雇用し、利用客を集め、収益を得る。介護事業は立派な法人となります。介護保険法の下にあるものですから当然です。施設の規模や形態にもよりますが、株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人のどれかで考えます。これらの設立には時間がかかるので、早めの準備が理想です。それぞれメリットとデメリットがあります。株式・合同は設立が早い、株式・一般社団は費用が高い、合同・NPOは従業員募集が大変といった特徴があります。この辺は自身で良いと思うものを選ぶしかありません。フランチャイズ会社に加盟するのなら、こうした法的な部分でもフォローしてもらえるので楽になると思います。
トラブルを回避するための損害賠償保険
開業するために損害賠償保険に加入することも忘れてはなりません。介護事業はあまり動けない人を対象にする商売です。思わぬリスクはどうしても付き物ですから、損害賠償ができなければ経営できません。保険会社はどこでもいいのですが、加入には数週間かかります。後で困らないよう、施設の場所が決まり次第その準備をはじめておくほうがいいでしょう。保険には期限もあります。介護事業をスタートする時点で適用されるようにし、期限切れがいつかも更新を忘れぬよう覚えておくことです。もし準備に手間取って、保険の加入が遅れ、開業に適用が間に合わなくても、付保証明書を発行してもらえば、大丈夫です。
難しい職員集め。準備は計画的に
介護事業所の申請には、従業員の資格や勤務状況なども提出することになります。事前に勤務者を集め、契約しておく準備も重要です。契約には雇用期間や労働時間などを細かく説明する雇用契約書が要るので、その作成もしておかなければいけないのです。FC加盟で開業するのなら、比較的従業員も集めやすいのですが、独自に人集めをするのは大変です。介護には人柄も大事ですし、地方などは人材が乏しく、求人で苦労することもありますから、事業を始めるに当たって一番の壁といえそうですね。介護事業の従業員は素人がすぐにできるというものではありません。こうした難しさも考えて、特に念頭に入れて準備をしておくべきでしょう。
場所をしっかり吟味して、契約しよう
施設には設備基準というものがあります。デイサービスでも訪問でも、介護事業の施設として最低限確保しなければならない事務所や洗面所、相談室などが設置できるスペースを用意しろということです。場所は客入りの意味でも肝心ですから、選び抜かねばなりません。事業形態によって必要な広さは違いがありますが、そうした物件を見つけ、賃貸借契約を結ばないといけません。その場合、介護法人としての契約となります。これも事業の指定申請に記載しなければならないので、準備しておくことのひとつです。自宅で開業するのにも、法人として場所を借りるということになるので、やはり契約書が必要になります。中には介護施設を嫌がる大家もいますから、後で揉めないように説明しておきましょう。
まとめ
介護事業を始める準備をこうして見てきましたが、いろいろあってウンザリされたかもしれません。他に備品を購入したり、開業前の準備は多いのです。それだけ責任のある、行政からきちんと指定された立派な事業ということもできるでしょう。開業した先輩の中には「この始める前が一番面白かった」という人もいます。夢に向かっているときは苦労も感じないようです。面倒に感じた人は、指導してくれるFCで始めるのがいいと思います。